パラノマサイトのワンシーンにおける医学的な「正しさ」について
パラノマサイト、とてもおもしろい
みんなはもう、やったか?
というセリフがアホくさく聞こえるくらいみんながやっているゲーム。
この前飲み会に言ったら6人中5人がプレイしていて全員がおすすめしてくれた「パラノマサイト FILE 23 本所七不思議」。
絶対面白いだろうなと思いつつ、踏み切れなかったが5人からの熱ある布教(とそのうち1人の経済的支援。ありがとうございました。)があり、購入に至った。
今僕は、興家が死に、約子が死に、マダムルートが打開できず、刑事ルートを始めたところだ。すごくワクワクするし、呪詛の呪いの側面より攻撃性、死滅回游のようなバトルが面白くグイグイ引き込まれている。ギャグセンスも大好きだ。
以下で話すのはそれら好きなものに対して冷や水を浴びせるような内容なので、申し訳無さもある。
が、ツッコんでしまったんだからしょうがない。
先に言っておくけれど、僕はプレイ途中だが、パラノマサイトは大好きだし、
フィクションであるこの作品に「ここ医学的に間違ってる〜〜!!はい、駄作!!!」
なんて言うつもりはまったくない。
そこに正しさがなくとも娯楽が面白いことは間違いなくあるし、正しさに従うだけのフィクションなんて窮屈だ。むしろ、僕は漫画とかで医療知識が間違ってると愛らしく感じる。
ただ、みんながやっている作品で、医学的にやったほうがいいことがあるならそれを知ってもらうきっかけになるんじゃあないかと思った。
みんなびっくりしただろう序盤のあのシーン
※今回も半分くらい音声入力でお送りしています。今回はwordではなく、iPhoneのメモ帳機能で。
このシーン、最初驚いた。
そこまでの雑談から一転、衝撃的でどんどん興家(今おきいえとと発音しただけでしっかり漢字に変換してくれた、とてもうれしい)が物語に巻き込まれていく、その初め。
そこで僕は「おいッ!!!」と叫んでしまった。(本当に)
ここで興家は、救急車を呼ぶ。その後、周りを見渡して特に行動しない。
そのままぼーっと突っ立っているのにめちゃくちゃツッコんでしまった。
ここで興家が見落としていること、それは
BLS(Basic Life Support,一次救命処置)である。
あそこで医学的にすべきだったことについて
BLS、一次救命処置。簡単にいえば心臓が止まってすぐの人の心臓をまた動くようにしようとする「蘇生法」である。
その名前はあまり聞き馴染みがなくても免許センターに通った人なら知っているだろう。
「あ、誰か倒れてる!周囲の安全よし!」「大丈夫ですか?!……返事がない……」で始まるアレである。
周りの安全確保と可能なら感染防御をした上で、倒れている人が呼吸と脈がないと分かったら、心肺停止と判断する。(ここで判断するのは医療者でもビビる時がある。)
そしたら周り(や119番に)に助けを求めつつ、胸骨圧迫、いわゆる心臓マッサージを行う、というやつだ。
公園での興家の行動を振り返ろう。
倒れたヨーコを発見した時、1番最初にやる事は救急車の要請で正しい。
その次も興家は偉い。呼吸を見て、肌に触れて心臓が止まっていることを確認している。
すばらしい。
ただ、ここで呆然と立ち尽くしてしまうのがとてももったいない。惜しい。
ここで行うべきは
胸骨圧迫、いわゆる心臓マッサージである。
ただし、この昭和50年代(オカルトブームがあったところからすると、1970年代くらいだろう)において、胸骨圧迫の重要性はあまり認知されていない。
僕も確証がなくて調べたが、やっぱり日本でこの時代に心臓が止まった人に心臓マッサージをするというのは医学会でも知られてなかったみたいだ。*1*2
なので、この時の興家の行動は時代考証的にも一般市民の行動としては当然っちゃ当然で、むしろ迅速に救急要請しているので一般市民の鑑ともいえる。
じゃあどうやってやるの?
僕らはそこから医学も科学も進んだ2020年代を生きており、呪詛もないので誰かの心臓が止まったら、医学と科学に頼った方がいい。
かいつまんだ説明になるので、しっかり学ぶ人は講習を受けてくれたらとっても嬉しい。
ペースは100-120BPMで、「強く、早く、絶え間なく」をモットーに。*3
数年に1回位、X(旧Twitter)で「ドラえもんのうたを歌いながらやるといい」みたいな内容にフレーバーをつけてバズることがあるけど、内容は正しい。
最近(意外と最近ではない)ならパプリカ(BPM 100)でもいい。
場所は、胸骨下半分。
両手を重ねて、手首、肘、肩を一直線に上から腰の力で押す。
これ、めちゃくちゃ疲れる。30秒が基本単位だが、やってみるとすぐに汗をかく。慣れてないと腕も痛む。腰も痛む。
人が多くないと絶対できない。だから、一番最初に人を呼ぶんだ。
ちなみに興家のように、午前1時台で周りに誰もいない場合、この現代2020年代だったら、スマホをスピーカーホンにして、119番をかけて救急車を呼びながら、自分は胸骨圧迫をする、というのが正しかったりする。
また現代であれば、AEDを装着することがとても大事だ。(勿論昭和時代には存在しない)
AEDは、不整脈(脈の乱れ)で心停止になってしまった場合に機械が自動で脈を解析し、必要なら電気ショックを打ってくれる。
AEDの使用が1分遅れると心臓が再び動き出せる確率は10%低下すると言われているため、近くにある場合には必須だ。(周りにいる誰かに頼むといいだろう。ここでもまた人が必要になる。人を助けるってたいへんだ。)
ごちゃごちゃ書いたけど、まずは大丈夫か声をかけて、やばいと思ったら胸を押す。最初に押す人はかなり勇気がいると思う。押せなくてもまずは周りに助けを求めるところから始めてくれたらとても嬉しい。
おわりに
プレイ時はツッコんでしまったけど、振り返ってみると興家は正しい行動取ってたしパラノマサイトに落ち度はまったくなかった。(呪詛に手を染めるのは全く正しくないが)
心臓マッサージをしろ!って思うことは創作読んでると結構あるんだけど、今回パラノマサイトでブログを書こうと思ったのは理由が3つくらいある。
1つは、勧められて面白くて出力するエネルギーが溜まってたこと
2つめは、音声入力やってみたかったってこと
3つめが、1番大きくて「本来なら胸を押すはずなのに、周り見渡してZL押してる場合じゃあねえだろ!!!!」というおもしろポイントがあったからだ。
3つめを思ってコラを作ってみた。
医学的な話も大事かもしれないけど一番の本心は
はやく、ストーリーを進めて葉子を救える未来を見てみたい、だ。