野良犬イギー
最近また、ブログ書かなくなったので思いついて書く。読書感想文。
2022年5月に出版されて、夏には買った覚えがあるけれど仕事が忙しかったりして全然読めていなかったのをやっと読んだ。
関係ないけど仕事が忙しくて、ってホント癪に触る言葉だな。
舞台は1988年、承太郎がまだスタープラチナの能力を御しきれずにいた頃。6月11日にミッドナイトランが公開されてるのを見てるのでその辺りかもしれない。アヴドゥルの好きな映画がミッドナイトランだなんてマジで覚えてない設定すぎるし、なんなら俺はアヴドゥルがあんまりにもインドを誇らしく紹介するからインド人だと思ってた。
マンハッタンで帝国を築いていたイギーをアブドゥルが捕獲する話。
こういう前日譚の難しいところは、お互いの絆の深まりは本編まで語られないけど、物語として何か落着させなきゃいけないところだと常々思っている。だから番外編とかオリジナル劇場版とか前日譚とかはあんまり読まないけど、マンハッタンで野良犬の帝国築いていたイギーに興味を抱き購入した。
他の乙一先生の著作を読んだのが小学生とかなので忘れてしまったのだけれど、風景描写がとてもいい。マンハッタンの喧騒とか治安の悪さとかとてもよかった。
イギーはとにかく自由で人間からしたら街の厄介者だったけど、特に犬の帝国を築いているっていう描写は多くはなかった。むしろ、一匹狼で愚者をうまく使って人間をあざ笑いながら生活していた。
原作では触れられていないんだけどイギーの愚者で発生した砂は物質としてとどまり続けるらしくてマンハッタンが砂でザリザリなのを執拗に描写してくるのもとてもいい。スカーレット・バイオレットのオラフシティってこんな感じなんだろうな……
イギーの愚者、原作でもかなり便利な能力だけど、壁に擬態して隠れるとか、飛散している砂の摩擦で雷を起こすとか発想に感動した。雷の伏線があったり、アブドゥルのつけてる訳わかんない金属のアクセサリーに意味が持たされるのも良い。
アブドゥルもアブドゥルで、その生い立ちが示されたりジョセフとの邂逅が描かれたり、死に様が示唆されたりしたのはいい。
上述した前日譚の成約なによりももう一回ジョジョ3部を読みたくなったのがこの小説一番の功績と思った。