海抜活動電位

twitterばかりで長い文章や残っていく文章を書けなくなったのでその練習です。日々のこと、見た作品のこと、創作についてブログしていきます。

それでもこの世界を生きていく。 「天気の子」感想※ネタバレあり

この記事は「天気の子」のネタバレあり感想です。

セリフを「」で引用していますが完全に覚えているわけではないのでなんとなくです。皆さんの中で補完してください。

 

 

 

 

 

 

 

weathering with you

 

 

初め、この言葉は「陽菜と一緒に雨を晴れに変えていく」という意味だと思ってたんだけど

 

天気を決定的に変えた世界で君と生きていく

ということでは??(文法的には通らないんだけどさ……)と思ってしまって勝手に、本当に勝手に戦慄している。

 良かった点

ストーリー

ラスト。

帆高が、好きを世界の形よりも優先する、という選択をして変わり果ててしまった世界を見て、心が折れそうになってもその世界で生きていく決意をしたところ。

世界の改変によって生活できなくなった人との対話も逃げすに描いている。

 

 

これ、もうだって今まで数多の作品がやってきた「世界を変える危機を正常に戻して終わり」とか「世界よりも好きな人を選んだけどその後は描かれない」という作品に対する決定的な一打であり、須賀さんの「世界は狂ってんだから」で世界の危機系の作品を一緒くたに「そんなの奇跡でもなんでもないあたり前のことだよ」って言い切ってしまった。(主題歌の頭も「愛はヒットソングに歌われ尽くして、映画で描き切られてしまった」という旨を謳っていてリンクするなあと感じた。)

そしてそれでも「それでも僕らは世界の形を決定的に変えてしまったんだ」で締めくくるラストは、第三者や大いなる世界の視点からしたら些細なことでも自分たちの世界は変わったと強く宣言していてその中で生きていくの強いなあととても感じた。

ぶわーーーーっと書いていてちょっと脈絡ないかもしれないんだけど許してください。

 

君の名は。と天気の子について

君の名は。の主人公2人はしっかりわかったんだけど勅使河原とかは分からなかったな。彼らが生きていることで君の名は。で起こったティアマト彗星の墜落も違う物語だけど同じ世界の話で、一番最初に書いた「世界は狂ってんだから」にティアマト彗星についての一件も含めちゃっている。

君の名は。はティアマト彗星墜落という異常をタイムスリップで正常に戻して何もない世界を生きていくっていう話だけど

天気の子は正常な世界が異常になってしまって

その異常を正常には戻さずに覚悟を決めて生きていくという物語でやっぱり、

一歩先を進んでいると思う。

 

君の名は。の次回作としては完全だったなあと改めて思いました。

これこの後世界の改変だとか危機みたいな物語書けなくないか????

 

 

 

全体的に漂う空気

主人公のアクションに対して必ず嘲笑や冷やかしを敢えて入れて、逆境を表現、さらにそれを乗り越える青春劇には感動した。

・梶さんがやってた刑事の「っせーな」とか「このガキッ……!」

・運転手の「鑑定医(精神鑑定医でしょう)いりますか」とか、線路を走ってるときの執拗なまでのモブの「何やってるんだ!」「え、あれやばくない?w」とかとか。

 

完全に主人公目線にしたら絶対入ってこないセリフ達で、あえてそれをいれつつも帆高はそんなの目もくれず走っていく。ここめちゃくちゃ好き。

 

 

フリクリ

ナオ太と同じで好き>世界、という選択をしていて変わり果ててしまった世界で生きていくのもフリクリ(Fooly Cooly)らしかった。まあ天気の子は二人は再会するけどね。

フリクリでいうとハルコと戦う直前のアマラオとナオ太の構図が、自我を貫こうとする帆高と大人として止める須賀さんの構図と酷似していましたね。

須賀さんの「大人になれ、少年」ニュアンスは違うけどアマラオだし……

ただ、帆高が銃を持っているのがルール違反と思っているんだけど。

 

 

 

 

 

悪かった点

正直帆高への感情移入度はかなり低くて、なんで好きな女の子に拒否された拳銃で決着を取ろうとしたのかとか、そもそもお前の抱える悩みはなんだったのかみたいなところにはフォーカス当たらない(しかも普通に高校生活終えちゃう)。

穂高が銃を2回使うのも納得がいかない。

お前、その銃を使うって行為はお前が惚れた女が辟易した行為なんだぞ?それを用いることで誰かを殺して陽菜を助けたところで陽菜は望んでないぞ?

という気持ちが強い。

逆にそもそも殺す気がないなら

銃を握るな

という過激派の僕もいる。

 

あと、ラブホでカラオケするところいる?というかラブホの下り、羨ましすぎて気が狂いそうだった。バスローブ着てる女の子羨ましすぎるでしょ……(未来の自分が観たら恥ずかしくなるポイント)(悪かったんじゃなくてただの嫉妬だ)

 

 

笑っちゃった点

・バニラはずるいでしょwwwwwでも東京の風景ってたしかにああだし納得。でもあのトラックを見て即風俗で働こうって思う女子そんなにいるのか…………

でもあんだけトラック走ってることを考えるといるんだろうな…………(いるか?)

ビッグマック

どんだけお腹が減ってたとしてもビッグマックはあんなにふっくらしてないでしょ……………めちゃくちゃ美味しそうだったぞ……(あのパンとかレタスとかでふっくらするところ、本当に良かった。「となりのトトロ」でサツキがほうれん草を着るときのふんわり感を思い出した。あれもすごい。)

プリキュアのコスも面白かったけどそれに群がる撮影オタクも多すぎて爆笑した。多すぎでしょwwww

 

作画

僕は作眼がないので誰がどう、みたいのは全くわかりません。好きなカットをツラツラしていきます。

いっっっっっちばん好きなカットは陽菜が「お願い!」って言って雷がトラックにあたって爆発するシーン。もう最高。もう2時間ずっと陽菜が「お願い」するだけのアクション映画でもいい。

「帆高、私ね」と語るときの陽菜のカット。そしてそこからの帆高の涙。

空を飛ぶときの遠方と手のつなぎ方。少しずつカメラがローアングルになっていくのもすごかった。やっぱ千と千尋の神隠しやってた人が作監だったからこだわれた部分なんだろうか。あの、千尋が嵐の中に入っていって川で溺れた記憶がフラッシュバックして名前を取り戻したハクを思い出した。

人物

主人公2人はあんまり共感できなかったので、共感できた人たちからサラッと書いていこうと思いました。

凪のモテモテっぷりと元カノ今カノの2人。

まず、女の子2人の名前でゲラゲラ笑っちゃった。花澤綾音と香菜ちゃんって雑すぎるでしょwwww声もまんまだし。

凪のバス停で女の子をローテーションしてるのも面白かったし、凪のことを先輩って呼ぶようになる帆高も毎度笑っちゃう。(ここは数少ない帆高の共感ポイント)だからこそ「お前のせいだぞ!」の凪が初めて子どもになる瞬間めちゃくちゃ好き。

 

 

夏美さん

君の名は。に引き続き就活を描きすぎでしょwww就活している身としては見ててめちゃくちゃ辛くなった。大人で自立しようとしている夏美は大人になりたい陽菜や、大人なんだけどどうしようもない須賀さんとのコントラスト担っていてよかった。お尋ね者の帆高を笑いながら助ける夏美と、自分の生活のためにネグレクトして行動を制止する須賀さん。

 

主人公に対して現実を見ろと言わんばかりの(まあ言ってるんだけど)梶さん刑事(CVが梶裕貴さん)は主人公サイドからしたらイライラもするけど同時にまあそう感じるよな!という気もあって大変好き。そして走り方のフォームがトム・クルーズのそれでゲラゲラ笑っってた。腕振りがピンとしすぎでしょwwwww

 

分からなかった点

・なんで、陽菜は最後祈っていたのか。

帆高に「自分のために祈れ」って言われたから二人の再会の日を晴れにしようとした?てかあの時点で天気の御子の能力失ってるんじゃあないの……そしたらなんで祈ってるの……?インスタ映え狙いか?

・廃ビルで帆高を止めた須賀さん。

大人の役目として止めたのならまあ分かるけどそしたらその前に「それでも会いたい人に会いに行くってのは私のような人間からしたら羨ましい」って言ってた刑事さんの言葉に涙するか……?本当は止めたくないけど大人は「大事なものの順序を変えられない」から止めに行った?

あと、制止していたはずなのに梶刑事(梶ではない)(CV:梶裕貴)に「お前らが触るんじゃねえ」ってなるか?感情がもう溢れて「大事なものの順序を」入れ替えられたのかな?それだったら嬉しい。

・中盤に中学生が見つけたり、帆高の船に被ってきた大量の水

順当に考えて、あれは晴れにしたせいで押し出された雨の遺残物だと思うんだけど特に物語には絡んでこなかったな。帆高が最初に被った水も陽菜が押し出した雨なのかな?そもそも息苦しくなった帆高が追いかけていた陽だまりは陽菜が呼び寄せた晴れだったのかな(だから「その中心に君がいた」って台詞になってくる?)。

・なんで最初に須賀さんは船に乗ってたの

高校生にたかるくらい金欠だったのに。(まぁ、そういうもんと思えば大した事ではない)

 

 

雑感

エヴァの予告が来たから対比させてしまうけど、「天気の子」は破でサードインパクトを引き起こしてもQのようにいじけない世界線。そういう意味で新劇場版よりも一歩先を行っていると思った。

でもエヴァは破で終わらずQで打ちひしがれ、今までで紡がれた縁をつないでいくであろうシン・エヴァがあるので天気の子を超えてくるポテンシャルを大いに秘めてる。期待。

 

まとめ

終盤まで結構、「ほーーー冷やかしや嘲笑を逆風に使ってうまく描いているなあ」「めちゃくちゃタイアップしているのにちゃんと描写してとうきょうを描いているなあ」「銃使ってほしくないなあ」

などと考えていたけれど須賀さんの「世界は狂ってんだから」からの「それでも僕たちは〜」という決意が本当に素晴らしくて大感動してしまった。

すごく良い映画で「これが令和時代のアニメーションかあ!!」と幸せな気持ちになった。

 

好きさで言ったらPROMAREのが好きかな。(吉成曜さんとすしおさんと今石洋之さんのアニメーションが見られるので)