海抜活動電位

twitterばかりで長い文章や残っていく文章を書けなくなったのでその練習です。日々のこと、見た作品のこと、創作についてブログしていきます。

人は何のために草津へ行くのか?

 

岩魚を食べに行くため、ですね。

○目次

 

 

 

 

【はじめに】

この三連休で友人と草津に行ってきました。

夜ご飯を「夏草窟」さんでいただきました。

URL: http://www.summergrass.jp

大体料理3500円+お酒1500円の予算でお願い(予約をオススメします*1)して

・前菜(豆腐の岩魚出汁煮・あけびの煮物・ピーマンの煮物、ゆで卵・プチトマト沢山・ポテトたまごサラダ、高野豆腐としいたけの煮物、煮豆、六合納豆(くになっとう))

・岩魚の塩焼き

・岩魚の姿造り

・もち豚(群馬の豚)+野菜のしゃぶしゃぶ

・岩魚ご飯(岩魚の山椒煮を玄米ご飯に混ぜ込む)

・岩魚の骨の唐揚げ(姿造りで余った骨を使ってもらった)

・デザートにおもちと柿・林檎

 

多くない?

 

君ならどうする?

最高だった。

 

【料理の内容】

 一番感動したのは姿造り。川魚の刺身ってのがまず初めてだったんだけど、ビビりました。味は淡白なのに脂がノリノリで口の中でとろけて、美味しすぎてゲラゲラ笑ってました。

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刺身。マスターが厚意でつけてくれた辛めの大根おろしを乗せて醤油でいただく。

 岩魚ご飯は、煮て骨までとろとろになった岩魚を崩しながら玄米ご飯に混ぜ込む。甘めの味付けに山椒がアクセントになった柔らかい岩魚と固めの玄米がよく合って文字通り噛み締めてました。最後にとっておいて〆にした時は泣きそうでした……(というか食べるものが全部美味しくてずっと泣きそうだった)

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岩魚ご飯 合体前

 塩焼きは、敢えてのグリル焼きらしい。川魚の塩焼きつったら囲炉裏に刺して焼くだろ!みたいな固定観念とあこがれがまぜこぜになった意識を日本人は持ってると思うんですけどそうはしないらしいです。囲炉裏で焼くと水分が飛んでパリパリな食感に、グリルで焼くと水分が保たれてふわふわな食感になるらしく、このお店は後者で調理。個人的にはふわふわが好み。

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他の塩焼きって見た目からしてもうちょっとパリパリしてるよね

 骨の唐揚げは塩と山椒で食べたんだけど岩魚の骨の真髄(骨なので)は唐揚げではなく岩魚酒だと思いました。岩魚酒については次の見出しで。

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じゃがいもチップも揚げてくださった。二尾いて一つは少し身がついていてそれはそれで美味しい。

 男2人がお腹いっぱいになる量を他じゃあ絶対に出されないくらいの高い質で提供していただきました。

岩魚の刺身なんか鮮度が高くないと絶対出せないらしいです。鮮度は採った岩魚を-60℃にすることで保っているとか。-60℃はマグロの赤身が黒くならない位、鮮度を保つことができる先端技術とはマスター談。

 

 

【岩魚酒】 

岩魚酒。

 

 がん ぎょ しゅ

岩 魚 酒

 

 

嘘です。いわなざけorいわなしゅです。(どっちかは忘れた)

岩魚を酒に泳がせて出汁を取る。そういうことなんです。

画像はこれになります。

 

 

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岩魚酒。器には大体日本酒2合

 

(美味しさが伝わらなさそう)

尾びれから主に出汁が出るらしく1尾で大体2合分。

これがめっっちゃくちゃ旨い。骨!って感じの口当たりで旨味がある。

岩魚を食べながら岩魚のお酒を飲む。感極まれり。(ひれ酒みたいなの飲んだのが初めてどう語れば良いのか分からん)

お酒の方は岩魚酒は純平で飲み、

他には

ビール

七笑(すごくすき)

浦霞(いちばんすき)

七賢

真澄

を飲みました。お酒の制度も特殊で、日本酒・焼酎が何を飲んでも一杯(1/4合)で180円とかいう破格。

ビールに関してはお店をマスター1人で切り盛りしてるので生は出せないらしく缶or瓶。

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こじんまりした店内で座敷から撮影。個人経営という感じ。ごちゃごちゃ感すき。

 

 

 【マスター】

 ただ美味しいならtwitterで写真あげて終わりだったんだけど今回更新されなくなってから悠久の時を経たblogを開いたのはマスターの存在が大きかったからです。

このお店、マスターが岩魚の美味しさを広めるために始めたそうで、仕入れから調理まで全部自分ひとりでやってます。すごい。

仕入れるのも自分の池を持って養殖するところから。さっき書いた冷凍とかも自分でやっててまだ研究中らしい。

今は草津までしか-60℃を保って運搬できないけれど、将来的には東京へ出荷してもっと色んな人に岩魚を食べてもらうのが夢と語っていました。

自分は儲けなくていいから色んな所で岩魚を食べてもらって今沈滞している岩魚を盛り上げるのが目標。(最高)だって日本酒の制度とか3500円じゃ出せないようなクオリティと量の料理とかどう考えても採算度外視。

 岩魚は養殖技術は確立しているものの、需要がなくあまり売れておらず、それ故にあまり養殖されていないらしい。逆に言えば需要さえあればしっかり供給できるみたいです。岩魚を広く食べてもらいたい背景には食料自給率の低い日本で安定して供給できる水産資源を確立したいという目標と、これだけ美味しいものが供給できるのに日の目を見ない現状を打破したいという意識があると語ってくださった。

 

 【まとめ】

 もっと岩魚を色んな所で食べられるようになりたいし、僕も色んな人に岩魚の良さを知ってほしい。美味と定義されている魚、マグロだって辞書に美味とは書いてない。

 そのためには需要が必要。その需要はどうすれば生まれるか。

 

色んな所で色んな人が「食べたい」という他ないと思う。 

(いきなり啓発ブログっぽくなったぞ)

 

 

なので僕は美味しかった、と言うし、食べたい人を増やしたい。そういう訳で今回の記事を書きました。いきなりドッと増えることはないけど地道に岩魚の美味しさを広められればいいなと思います。

 僕は鰻も大好きなんだけどやっぱり今鰻は絶滅の危機に瀕していて進んで食べるのは気が引ける。

でも同じ少ない魚でも生産者の方が養殖技術が確立していて安定供給できる!と言ってくれるならどんどん拡散できるしそれができるのがとても嬉しい。

 そんなエネルギーと多幸感を与えてくれた岩魚には感謝しきれないし、マスターとの出会いも有り難く、いい思い出になった。

 そもそもこの旅行は8年前からの夢、「美味しく岩魚を食べる」(*2)を叶えるために企画したものだった。草津に泊まることよりも、岩魚を食べるための旅行でそれを成就できたのは本望。

そこら編の話は蛇足も蛇足なので、ここまででクッソ長ぇよって方はここまで読んでくださってありがとうございました。追加とかしゃらくさいとことかあったら直すと思いますが一先ず思ったことは吐き出せたと思います。

 まとめると

 

岩魚のために草津へ行こう。

そしてその良さを地元の居酒屋に帰って広めよう、ということです。

「え?岩魚?淡白でそんな美味くないだろー」という方にこそ是非。

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お店と友人。結構奥まったところにある。西の河原方面。

 【補足1】

*1について。このお店は、岩魚の運搬を全て冷凍にて行っており、鮮度をなるべく保つためオーダーを受けてから解凍するため飛び込みで入るとかなり時間がかかる。(前菜が大量なのも調理時間中に持て余さないためらしい。ありがたい。)予約だと事前に解凍できるためパッと出てくる。僕らは前菜が大量で岩魚料理もすぐに出てきたので机の上がたのしいことになっていた。岩魚ご飯も予約しないとできない(多分岩魚を煮込むのにすごく時間がかかる)ので気になった場合は是非。

 

 

 【そもそも(補足2)】

*2の話です。

 

 

時は9年前ッ!

 

 

 

松岡修造という男がいた。(今もいる。)

 

今では寧ろ「海外メディアが松岡修造の熱い実況に夢中!wwwwwww」「松岡修造がいるせいで冬季オリンピックが暖冬で成り立たないwwww」「松岡修造が海外にいるせいで日本が厳冬wwwww」のようなネタには辟易しているけど

 

当時ニコニコ動画が隆盛を極めており、その中の松岡修造は僕らにとって圧倒的な存在感だった。

 

とにかくハマった。

 

けいおん!東方Projectにハマった時期とも被り「そうおん!唯以外全員松岡修造」シリーズや「あつあつ時間」「アチチルノのバーニング英単語教室」などのMADを見まくった。その結果ソラで再現し友人たちと合唱するまでに至っていた。(見返したら何だか胸が苦しくなったので見たい人はググっていただきたい。)

 

あの頃はハマってることを誇りにすら思っていた気がするが今考えると勘弁してほしい人間。

もちろんその中で引用される松岡修造語録にもドハマリした。その中に「岩魚見習って生きろ!」「岩魚のように出汁のある人間になれよ!」など岩魚に関するセリフがあるのはニコニコが好きな人だったら言わずとも、な事だと思う。

毎日毎日、意味も脈絡もなく連呼していたこれらのセリフだったが、ナメクジ程度の知能しか無い中学生男子の脳みそでも「岩魚」に対しては引っかかるものがあった。

 

松岡修造語録の中には岩魚の他にも、お米、しじみカニなど複数の食材が溢れ、ネタとしては-20℃の海の中でしじみを採ろうと奮闘している松岡修造のほうがインパクトがある。

だが「岩魚」は唯一見たことも食べたこともない食材だったため、他と一線を画する異様な興味を抱くようになっていった。

岩魚、英語でchar.辞書で調べると

渓谷に住む、さけ科の陸封(りくふう)魚。体長三〇センチぐらいで細長く、体に淡紅色の点がある。釣り魚として珍重される。美味。

との記載。(参考文献 google検索。似た記述は他の辞書でも散見される)定義を述べるための辞書で「美味」と主観的な記述があるなら相当美味しいに違いない!というのも岩魚への興味を駆り立てる一端を担っていた。珍味というのもそそられるポイントだ。

そのうち今回一緒に岩魚を食べた友人との間にいつの間にか「一緒に岩魚を食べる」という約束が出来上がり、

お互いが別の場所で岩魚の塩焼きを目にしても「一緒に食べるまでは岩魚を勝手に食べることはしない」と

言い合ってもいない追加の約束まで出来上がっていた。

別にお互い釣りをするわけでも登山や渓流に明るいわけでもない。

ただ、一介のテニスプレイヤーの言葉が8年間胸に刻まれ、もはや呪いのような固執を僕らに芽生えさせてました。その呪いを解くべく今回意を決して岩魚を食べに行けたことは感激でした。

ありがとう岩魚、本当に…

…本当に………

『ありがとう』、それしか言う言葉が見つからない…